松あき子の部屋

私が観た日本の伝統芸能・工芸品などを書きとめます。

日本の四季、いろいろ

お庭のふきのとうがあちことに顔を出し始めました。苦みのあるふきのとうは大人になってから美味しいなと思うようになりました。春の旬は苦み。この時期にしっかり苦い旬のものを頂いておくと、夏バテしない体作りができると聞きました。天気予報では、今日は暖かくて春一番が吹きますよなんて言っていたけど、生温い雨の一日になりました。庭に出ると湿った土の匂いとかすかな蠟梅の甘い匂いが漂って、春が近づいているのを感じます。

f:id:matsuakiko:20160213182842j:plain

間もなく二十四節気の雨水。3月に入ると啓蟄ですから、一気に季節が移っていきますね。来週は寒の戻りがあるみたいで、また寒くなりそうです。やだなぁ。

 

私は先月末に風邪をひいてこの2月は少しゆっくりペースで過ごしています。やりたい事を詰め込み過ぎてちょっとパンクしてしまった感じです。何でもトライするのは大事な事だけど、足下をしっかり見て土台を整える事も大事、ですね。焦らずに自分のペースで。春は一足飛びには来ないけれど、やって来ると一気に花が開きますものね。だんだんに行きましょう。

 

f:id:matsuakiko:20160213184347j:plain

 

 

本年も三番叟で賑やかに!

新年明けましておめでとうございます。

本年もいよいよ始まりました。少し久しぶりに書いています。

このお正月は暖かいですね。昨年は雪が積もったりしていたのに、今日なんかも上着がいらないほどのポカポカ陽気でした。

今年は元日から舞台観劇!都若丸劇団の三番叟で賑賑しく一年の幕が開けました。

いつも三番叟は文楽座で拝見していたので、大衆演劇では初めてでした。

翁はありませんでしたが、千歳の舞の後、三番叟の鈴の段が行われました。

f:id:matsuakiko:20160103164449p:plain

お正月はやっぱり三番叟がいいですねぇ。何の気なしに観ているのですが、もちろん意味があります。三番叟の鈴の段では地を踏みならして種を蒔く仕草をします。日本の国土が実り多く豊かになるように、又、子孫繁栄を願って踊られるものなんですね。

お能では「翁」は能であって能でないと言われます。始まりが猿楽とは少し違うそうです。金剛永謹先生によりますと元々は密教のお坊さんが勤めておられたそうです。翁の面(おもて)を付けると神格化されるので、演じるシテ方も身を清めて臨まれるそうです。お食事の火も家族とは別火でなさるとか、お出汁も動物性のものでは取らないとか。日本の藝ごとはまず神様に捧げるところから始まるのですね。

 

五穀豊穣、子孫繁栄はおせち料理でも頂きました。おせちには欠かせない数の子、黒豆、田作り。私は田作りが大好きですが、お魚なのになんで田を作るんかなと子供の頃は思ってました。肥料にしていたという事もあるそうですけど。以前、海の魚を守る為に漁師さんが山に入って手入れを始めたというニュースを聞いた事があります。山が豊かに生きていないと、海の生態系にも影響を及ぼすそうですね。

 

山も海も、そこに暮らすどんな生物も繋がっていて命があるんやなと、改めて感じたお正月でした。五穀豊穣や子孫繁栄はもはや地球規模で願わずにはいられません。

地球が美しく元気でいられるように、そこに暮らす私も楽しく一生懸命に参りたいと思います!!

 

 

半襟の付け方

着物の着付けは母に教わりましてなんとか出来るようになったのですが、半襟だけはいつも母に付けてもらっていました。でも自分で出来るに越した事はありません。今回ちょうど機会がありましたので改めて教えてもらいました。半襟って襟の中心から両方向に向かって縫うんですよね。そうでないとズレていきますから。それに襟は当然カーヴしていますので、まっすぐに縫うたんではあきません。内側の半襟は体のカーヴに沿うようにやや湾曲させて縫い付けていきます。母の手はいとも簡単にスイスイと針を進めていきます。ものの5、6分で完了してしまいました。

f:id:matsuakiko:20150825163204j:plain

(まず襟の中心を待針でとめ、カーヴにそって少し襟をたくっていきます。)

f:id:matsuakiko:20150825163424j:plain

(少しカーヴができた所。)

f:id:matsuakiko:20150825163512j:plain

(シャシャシャシャッと針が進んでいきました。)

 

何でもそうやと思いますが、自分の着るものや扱うものの準備やお手入れが自分でちゃんと出来て一人前やなと思います。物の状態を知って管理ができないと、どんなお稽古事でも上達はしません。料理人が包丁を、役者が着物や鬘を、アスリートが靴や道具を大切に扱うのと同じですね。自分の着る着物ですから、きちんと扱って行く事を勉強せなあかん、と実感しました。半襟に関しては便利グッズがたくさんありますけどね。強者は安全ピンでザクザクと留めてしまうそうですけど!

 

着物はやっと着られるレベルですが、糸や染め、柄ゆきの事など折に触れて学んでいきたいな〜と思います。

 

着物リメイク

連日の猛暑!!暑いですね〜あっと言う間に時間が過ぎて行きますね。。先日、友人から「もう着ない着物があるからドレスにリメイクしたいんだけど、お母さんに頼めないかな?」と相談を受けました。私の母は洋裁が得意で、私が子供の頃はほぼ全て母の手作りの洋服を着ていました。この夏、ワンピースを2着作ってくれたのを友人が見てのお話でした。着物を拝見するととっても可愛い訪問着で、ドレスにしても素敵な柄、デザイン、色。母に伝えると「やったことないけど、やってみるわ」とのことでした。この着物は友人のお母様が二十歳の頃着られていたそう。友人は着物として袖は通していないそうだけど、ドレスとして着る機会が増えたらいいなと思います。

f:id:matsuakiko:20150724175506j:plain

友人はヴォーカリストで、ジャズから演歌、クラシックまで幅広く活躍しています。私は彼女からヴォーカルトレーニングを受けて1年程。もうかれこれ20年近い付き合いになるのですが、音楽を通してここ数年、以前よりも仲良くしています。いつも前向きで一緒にいるのがとても楽しい友人です。こんな風に関係を育てていける友達って本当にいいなと思います。

f:id:matsuakiko:20150724180408j:plain

母は友人が舞台で着るためのドレスと聞いて、早速ウェディングなどを参考に型紙をとり仮縫いをしていました。サイズはぴったりで、友人が帰ってからすぐに着物の糸を解き、作成に取りかかっていました。昔の着物はとても丁寧に縫われていて、例えば白地とピンク地の部分では糸の色も変えてあったり!昔、和裁も習ったそうですが、とても複雑な針遣いですっかり忘れてしまったと話していました。糸を解きながら思い出していたみたいです。

 

母は細かい手仕事を根気よくやる人です。私にはとても無理です。子供の頃は妹とお揃いでいつも母お手製の洋服を着ていました。既製服が欲しいと思ったりしたこともありましたが、大人になった今でも、ジャストサイズで私だけのデザインで洋服を作ってもらえるって贅沢だなと思います。買った服よりも母の作った服の方が断然、褒められますし!友人のドレスが仕上がるのが、私もとても楽しみです。大切な着物が受け継がれる時に、私達も少しその思い出に参加できる事をとっても嬉しく思います!!

 

日本の四季、いろいろ  

水無月ですね。そして今晩は満月です。今日は風がよく吹いて気持ちいいのですが、ちょっと雨を連れてきそうな、そんな雰囲気です。梅雨入りの予報はいつも難しいけれど、今年は一段と難しいそうです。インドで発生している熱波が影響して、日本上空で梅雨前線が消えてしまうみたいです。雨降りが続かないんですね。日本の四季は当然ながら、地球規模の気候の影響を受けて成り立っているんだなと改めて思います。日本列島自身もなんだか活発に動いているみたいで、大きな災害がなければいいなと思います。間もなく二十四節気芒種、何れにしても間もなく梅雨入りでしょうね。

f:id:matsuakiko:20150602175648j:plain

(庭のバラ)

f:id:matsuakiko:20150602183408j:plain

(山あじさい)

 

ツバメが低く飛ぶと雨が近い、とも言いますよね。車にぶつかったりしないかヒヤヒヤしますが、ツバメの飛ぶ姿はとっても好きです。ひゅーいひゅーいと泳ぐみたいに飛んでいて、見ているこちらも楽しい気分になります。実際には必死でエサを集めているんでしょうけど。通勤の道にいくつものツバメの巣があって、毎日愛嬌のあるヒナ達の姿を見るのが楽しみでした。なんであんなに可愛いんでしょうね。先日、ついに巣立って行き、巣が空っぽになっていました。丈夫に育って来年また無事に戻って来てほしいです。

f:id:matsuakiko:20150602181758j:plain

六月六日はお稽古始めの日とも言われますが、私も(六歳じゃないけど!)仕事やプライベートで新たな挑戦をしたいなと思います。今年も半分が過ぎますので少し振り返りをして、改めて仕切り直し。新しい気分で再スタートです!

 

 

 

梅川忠兵衛

文楽でも歌舞伎でも好きな演目ってあると思うんですが、私は「冥途の飛脚」の梅川が結構好きです。今年はこの上期だけで梅川忠兵衛づいていて、文楽、歌舞伎、大衆演劇都をどりまで、様々な形で拝見しました。文楽と歌舞伎では封印切の段を、大衆演劇都をどりでは新口村の道行の部分を見ました。あえて比較するようなことはしないんですけど、当然ながら描き方が全く違うので好みもはっきり分かれます。

f:id:matsuakiko:20150512200937j:plain

(都若丸座長の梅川)

 

「封印切」の配役はこんなこんな感じでした。

文楽  切:豊竹嶋大夫 三味線:野澤錦糸

歌舞伎 忠兵衛:四代目鴈治郎 梅川:鴈雀 八右衛門:仁左衛門

私は圧倒的に文楽の方が好みです。まずあの緊張感。手を出したら首が飛ぶ大事な公金の封を切ってしまうわけですから、それなりの説得力がいると思うのです。文楽で描かれる忠兵衛はほんまにあかんたれ、梅川に首ったけですがなんか憎めない所がある。梅川もええ女です。これ、結構重要やと思うんですよね。そうやないと忠兵衛がほんまのただのアホでお金を遣い込んだだけみたいになる。梅川の為やったら、と想像できる女でいて欲しいんです。歌舞伎ではその辺りがちょっとモサッとしてました。随分違って描かれていたのは八右衛門です。これは面白かったです。文楽ではそんなに悪者じゃないんですね。あまりに梅川に入れ込んでいる忠兵衛を諭すような立場でもあるんですが、歌舞伎では徹底的に嫌な奴。仁左衛門の八右衛門はちょっと品が良すぎる感じもしましたけど、男前なんで良しでしょう。歌舞伎で良かったのはおえんの秀太郎丈です。まぁどうしても歌舞伎やと、役者の方が前に出るんですかねぇ。文楽やと誰かが演じる忠兵衛ではなく、忠兵衛その者が現れますからね。見え方も違っていて当たり前です。

 f:id:matsuakiko:20150512205232j:plain

梅川忠兵衛は道行も好きです。今は雪の中を逃れて行く設定になってますけど、昔は雨やったそうです。雨やと、ちょっと雰囲気が出ないですよね。やっぱり雪やないと。相手がつまずいたりして、裾についた雪を払ってやる仕草とかがいいんですよ。ちょっと目を合わせたりして。。この新口村の道行の部分は舞踊の要素も楽しめます。都をどりではしっとりと、大衆演劇では立回りなども入って豪華な舞台でした。若丸座長の梅川の美しいこと!最後に捕らわれる所までを演じていましたが、大衆演劇ならではのドラマチックな表現は圧巻でした。素晴らしかったです。生の義太夫三味線と合わせたらどうかいな、なんて妄想したり。短い時間で爆発的に表現する大衆演劇のエネルギーって、いつも本当にすごいなって思います。また、見たいです。