松あき子の部屋

私が観た日本の伝統芸能・工芸品などを書きとめます。

山河によせて

先日、敬愛する都若丸座長の舞台を拝見しました。座長の舞踊の曲に五木ひろしさんの「山河」があります。これが本当に素晴らしいので書き留めておきます。(以前、呉服座で一度拝見をした事があって、また見たいなあと思っていたので、飛び上がりそうな程嬉しかったです。)

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(都若丸座長。撮影は私。こちらは山河ではなく、別の曲をされた時のものです。)

 

壮大なスケールで命や愛について歌う「山河」をご存知でしょう。空に奇麗な雲が浮かんでいたり、ゆったりと連なる山の姿なんかを見ると、地球に生まれて良かったな、なんて思ったりするんですが、この曲を聞くとそんな喜びを感じます。若丸座長の表現はとても雄大で生命力に溢れています。指の先にまで細やかな表現がされていて、とても伸びやかで気持ちがいいのです。晴れやかな表情で踊って下さるので、こちらの心もすーっと開かれていくようです。本当に楽しそうに踊られます、喜びそのものっていう感じで。そうした姿を拝見していると、ああ、こうやって体の全てを使って生きる事を表現するのが舞踊だなあと、思います。悦びもあれば苦しみもあるし、後悔だってするし。でもやっぱり前を向いて行こうと思うのが、人生です。大袈裟かもしれないけど、座長の「山河」を見ながら、生まれてきて良かったなと思いました。これは舞踊の技術を超えた所にある表現力ではないかなと思います。

 

もちろん、この曲の美しさも手伝っていると思います。詩がいいですよね。

 

   顧みて 恥じることない足跡を山に 残したろうか

   ふと想う 悔いひとつなく悦びの山を 築けたろうか

 

私もまっすぐ素直に生きていきたい。欲を出すときりがないし、かと言ってなくてもだめだし。難しいですけど。せっかくの人生、一度きりだから、思いっきり生きて行きたいなと改めて思います。時々は直球以外の変化球も投げられるようになりたいと願いながら。。。機会があれば是非、若丸座長の舞台をご覧になって下さいね。