松あき子の部屋

私が観た日本の伝統芸能・工芸品などを書きとめます。

義太夫三味線発表会へ向けて 二

気が付けば師走も走る走る、早二週間を過ぎようとしています。急に寒くなりましたね。義太夫発表会へ向けて、先月より補習が開始されました。錦糸師匠はご自身の舞台を勤められた後、私達の指導にあたって下さいます。師匠が本気で私達を教えて下さるので、私達もその気持ちになんとか応えたい、その一心でお稽古に通っています。こんなに熱心に教えて下さる師匠が他にいらっしゃるかなと、本当に有り難いです。苦労していた譜面は、何となく読めるようになってきました。でもやはり、音を聞いて覚える事は大切です。譜面だけで覚えようとすると、音がぶつ切りになってしまいます。師匠も常々、「まとまりで覚えなさい」と仰います。指が思うように動かなくても、チン、トン、テン、と弾くのではなく、テレテツツンと固まりで弾くようにしなさいという事です。師匠の指遣いをしっかりと見て真似をすると、なんとなく弾けたりするんですよね。やはり譜面はさらう時に使うくらいのものでしょうか。

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 さて、義太夫三味線で肝心なのは大夫さんの語りに合わせるという事です。語りがあっての三味線ですからね。しかし語りを聞きながら弾いていたのでは間がずれてしまいます。そう、つまり三味線も大夫と同じように語りを覚えなければなりません。大夫さんが語り易いようにリードしてあげるのが三味線の役割です。無論、そんな事は知ってはいましたけど、、、。実際にやるとなると本当に難しいのです。手数よりも間の取り方を感覚で覚えることに苦労しています。何度も何度もテープを聞きながら一緒に語っている毎日です。しかも語りは物語ですから、演じ分けるという技術がいるわけです。三味線も同じで、子供の喋っている所は優しく、子供でも位の高い若君などは上品な音で。大人でも男女や年齢、位や立場によって弾き方を変えなければなりません。又、大夫さんの息のしんどい所は三味線が上手に引っ張ってあげないと声が続きません。自分の覚えた手を弾くだけでも大変やのに、そんな所まで気なんて配れますかいな!!!舞台に立つ芸人さん達って本当に凄いなって、日々恐れ入っております。

 

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(尊敬する文楽座 野澤錦糸師匠)

 

師匠になんとか最後まで手は付けて頂きましたので、後はひたすら聞き込んで覚えていくという段階です。言うてももう師走も半分が過ぎようとしてますので、ぼやっとしてる間もありません。とは言え、あまり根詰めても体が持ちませんので、ぼちぼち休憩を入れながら。何より楽しんでやることを忘れずに、もう少し頑張りたいと思います。錦糸師匠が時々聞いて下さるんです。「覚えたか?お稽古はどうや?頑張り過ぎなや」と。ざっくばらんで面白い方なんで、私も案外気安くお返事さしてもろてます、「師匠もハイボール飲み過ぎたあきませんよ!」ほな師匠、「偉そうに言うてる師匠の自分が覚えられへん、情けないわ!」まあ、覚えられへんのレベルが私とは格段に違う事は言うまでもないのですが、師匠でも舞台へ上がるまでに見えない苦労をされるのですね。錦糸師匠、一緒に美味しいハイボール、飲みましょうね!!!